保険金と税の6回目は前回の続きで【法人が受け取る生命保険金】を見ていきます。
1.保険金の例
・養老保険金
・入院保険金
2.養老保険金
① 税金の取扱い
<契約者:法人 被保険者:従業員 受取人:満期時は法人、死亡時は従業員の遺族>
保険料支払時:1/2経費(福利厚生費)・1/2資産(保険積立金) ※1
保険金受取時:満期時は利益、死亡時には経費計上 ※2
※1
死亡保障と貯蓄の両方の性格があるため、半分は経費、半分は資産計上になります。
※2
満期の場合には法人が受け取り、積立額を超える部分が利益になります。
満期時に退職金として従業員に払った場合は利益部分は相殺されます。
死亡の場合には従業員の遺族に直接支払われ、法人に残った保険積立金は雑損失として経費処理されます。
② 注意点
・福利厚生目的で加入する前提での処理であるため、従業員全員加入が原則ですが、勤続何年以上で加入など一定のルールがあり、特定の人を優遇していなければ1/2福利厚生費の処理が認められます。
・バブルの頃は利回りが5%を超えるなど金融商品として流行りましたが、今は予定利率が低いため、高利回りのメリットはありません。
・満期まで保有することが前提であるため、中途解約すると元本割れするケースが多いです。
3.入院保険金
① 税金の取扱い
<契約者:法人 被保険者:従業員 受取人:法人>
保険金支払時:全額経費 ※3
保険金受取時:全額利益 ※4
※3
医療保険やがん保険については、満期時に保険金のない掛捨契約であれば、定期契約でも終身契約でも全額経費になります。
ただし、保険期間が終身で保険料の払込が有期の場合、保険料と保険期間が対応していないため、105歳を満期と仮定して前払部分は経費化が先送りされます。
※4
法人が入院保険金等を受け取った場合は利益になりますが、福利厚生規程に基づいて見舞金として支出すれば相殺できます。
ただし入院保険金全額をそのまま見舞金で支払えば必ずOKというわけではなく、見舞金としての社会通念を考慮して経費になるかどうかを判断します。
入院保険金は個人で受け取れば非課税なだけに、従業員の福利厚生目的で加入するにはいいとして、役員だけの法人で多額の医療保険に加入するのはあまりメリットはありません。