株式評価の5回目は非上場株式(取引相場のない株式)の続きです。
次の4つのステップで評価していきますが、今回は② 会社規模の判定を取り上げます。
① 評価方式の判定(原則or例外)
② 会社規模の判定(大中小)
③ 純資産価額の評価
④ 類似業種比準価額の評価
会社規模を判定するのは評価方法が異なるためです。
・大会社:類似業種比準価額 (上場企業の平均株価を基準に評価)
・小会社:純資産価額 (会社の純資産のみで評価)
・中会社:類似と純資産のミックス (中会社の大中小により混ぜ具合に差)
② 会社規模の判定
従業員数、総資産価額、取引金額の3つの要素で会社の大中小を判定します。
<第1段階(従業員数)>
・従業員数70人以上⇒大会社
<第2段階(総資産価額と従業員数の比較)>
卸売業、小売・サービス業、それ以外で線引きが変わります。
これは同じ価値や規模でも業種によって総資産額や売上に差が出るためです。
ここでは「小売・サービス業」を例に見てきます。
≪総資産≫
・15億円以上 :大会社
・5~15億円 :中会社の大
・2.5~5億円 :中会社の中
・0.4~2.5億円:中会社の小
・0.4億円未満 :小会社
≪従業員数≫
・35人超 :大会社と中会社の大
・20~35人 :中会社の中
・5人~20人 :中会社の小
・5人以下 :小会社
総資産と従業員数とを比べて低い方で判定します。
例えば総資産が15億円あっても従業員が5人以下なら小会社になります。
<第3段階(売上と第2段階の比較)>
≪取引金額(売上)≫
・20億円以上 :大会社
・5~20億円 :中会社の大
・2.5~5億円 :中会社の中
・0.6~2.5億円:中会社の小
・0.6億円未満 :小会社
第2段階で判定した規模と売上で判定した規模を比べて上位の金額で最終的に判定します。
例えば先ほどの売上15億円、従業員数5人以下の会社で、売上が3億円であれば第2段階では「小会社」、第3段階の売上では「中会社の中」なので上位である「中会社の中」になります。
細かい判定基準まで覚える必要は当然ありませんが自社がどこに位置しているかを知っておけば株価を下げる対策を実行できます。
例えば社員69人の会社と70人の会社では、70人の方が類似業種比準価額となって株価が大幅に安くなることがあります。
売上を調整するのは難しいですが、総資産や従業員数は多少は調整も可能でしょうし、タイミングを見計らって安い時期に贈与することも可能でしょう。
その意味では自社株の評価は一度やって終わり、ではなく継続的に推移を見ながら対策していくべきと言えます。