株式評価の4回目は非上場株式(取引相場のない株式)の続きです。
次の4つのステップで評価していきますが、今回は① 評価方式の判定を取り上げます。
① 評価方式の判定(原則or例外)
② 会社規模の判定(大中小)
③ 純資産価額の評価
④ 類似業種比準価額の評価
① 評価方式の判定
<対象者>
・原則的評価方式:経営支配を目的とするオーナー株主(同族株主)
・例外的評価方式:配当を目的とする少数株主
基本的には同族株主に該当すれば原則的評価、それ以外は例外的評価になります。
次に「同族株主」とは何かを見ていきます。
<同族株主判定の範囲>
・配偶者
・6親等内の血族
・3親等内の姻族
・50%超保有する子会社 等
6親等の血族と言うと「いとこの孫」、3親等の姻族と言うと「配偶者の甥姪」まで入るのでかなり広いです。
<同族株主に所属するかの判定>
筆頭株主グループがどれだけの影響力を持っているかをまず見て、次に当事者が「同族株主」に該当するかどうかを判断します。
単純に何%以上のグループにいれば「原則的評価」というわけではなく相対的な力関係で見ます。
≪筆頭株主グループが50%超≫
・50%超のグループに所属 ⇒同族株主
・50%未満のグループに所属⇒同族株主でないので例外的評価
たとえ一人で49%の株を持っていたとしても、他のグループが51%持っていれば過半数を握られているため、49%の側に経営支配権はないと考えて株価は安くなります。
≪筆頭株主グループが30%以上50%以下≫
・30%以上のグループに所属⇒同族株主
・30%未満のグループに所属⇒同族株主でないので例外的評価
≪筆頭株主グループが30%未満≫
・15%以上のグループに所属⇒同族株主等
・15%未満のグループに所属⇒同族株主等でないので例外的評価
<同族株主に所属しても原則的評価にならないケース>
経営支配力を持つ同族株主グループに所属していても、個人として下記の要件を全て満たせば影響力は小さいと考え、原則的評価にならないケースがあります。
・5%未満
・役員でない
・中心的同族株主がいる会社だが本人は該当しない。
・中心的株主がいる会社だが本人は該当しない。
下2つはかなり複雑なので省略しますが、より影響力の濃い株主がいる会社かどうかを判定して、そこに所属していれば原則的評価、所属していなければ例外的評価となります。
専門的な内容になってしまいましたが、今回のポイントは3点です。
・オーナー株主の身内なら株価は高くなるが、身内の範囲はかなり広い。
・株数が多くても相対的な影響力が小さければ株価は安くなる(安くすることができる)。
・株数が少なくても高い原則的評価になることがあるので相続を見越してどれぐらいの評価になるか知っておくべき(対策できればする)。