相続税の納税猶予に関して農地及び美術品を対象として拡充され、使いやすくなります。
1.貸付け農地への対象拡大
<概要>
滋賀県の面積にも匹敵すると言われる耕作放棄地。
その発生原因の1つとして生産緑地と相続税の納税猶予があります。
納税猶予を受けると自分で農業を継続しないといけない縛りがありますが、農業ができず、かえって中途半端な状態で放置されていることがあります。
そこで貸付けられている農地に関しても納税猶予が受けられるよう改正されます。
<主な改正点>
・都市農地の賃借の円滑化に関する法律など正式な手続きに基づく農地の貸付けにも納税猶予を適用する。
・三大都市圏の特定市以外の生産緑地について、20年で免除されている農業継続を終身に延長(三大都市圏と統一)
・2022年に生産緑地の延長がされなかった場合も現に適用を受けている納税猶予は継続される。
2.美術品の相続税の納税猶予
<概要>
相続税を理由に美術品が散逸するのを防ぐため、美術品に係る相続税の納税猶予制度が創設されます。
<流れ>
・生前に文化庁長官の認定を受けて、美術館と長期契約を結び特定美術品※を預託。
・相続人が担保を提供して預託を継続した時は美術品の課税価格の8割に相当する相続税を納税猶予する。
※特定美術品
重要文化財に指定された美術工芸品又は登録有形文化財(建造物を除く。)であって世界文化の見地から歴史上、芸術上若しくは学術上特に優れた価値を有するものを言います。
美術品はかなり対象が限定されそうですが文化財保護には有効ですし、農地に関しても耕作放棄地の減少や農地の集約に貢献していくものと期待されます。