登記簿の面積より実測面積が大きい「縄伸び」。
このような土地を相続した場合はどうやって評価するのでしょうか。
まず原則が財産評価基本通達8に定められています。
「地積は、課税時期における実際の面積による。」
つまり実測が原則となります。
では全ての土地を測量して申告しなければならないのでしょうか。
実測には1件当たり50~100万円の費用がかかりますし、全員が実測し出すと専門家(土地家屋調査士や測量士)の数がとても足りません。
そのあたりの現実的な対応を考えて税務署としてもすべて実測によることまで求めていません。
実務的には差が小さければ登記簿の面積で評価していても通常問題になることはないでしょう。
ただし次のようなケースが注意が必要です。
・実測図面が法務局に提出されている。
分筆した場合や境界確定をした場合には法務局に正確な図面があり、税務署も当然見ています。
少々の差(数%程度)ならともかく差が大きければ指摘されます。
・航空写真で見ると明らかに実測と違う。
昔は現地で歩測したりして面積を測ることもありましたが、今はGoogleでだいたいの面積が簡単に測れます。
・農地や山林
山林や農地などについては縄伸びしているケースが多いので航空写真やその地域における平均的な縄伸び割合のデータにより税務署も実測面積をある程度把握しています。
・相続後に売却している。
売却する場合は通常実測して地積更正を行ないます。
登記簿の内容の変更は自動的に税務署に伝わりますので事後的に縄伸びしていることが分かります。
相続税の改正により申告件数が大幅に増え、税務署が調査に行ける割合も低下しています。
そんな中わざわざ税務調査に来たくなる内容で申告することもないので、大幅に縄伸びしている場合や実測面積がはっきりしている場合は実測面積で評価している方がいいと言えるでしょう。