確定申告で医療費控除の集計をしていて、ふと病院の領収書にある注意書きに目が留まりました。
「厚生労働省が定める診療報酬や薬価等には、医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映されています。」
1枚だけかと思いきやほとんどの領収書に書いてあるので業界として書いているようです。何か意味があるのかと思い調べてみました。
厚生労働省のサイトに答えがありましたが、次のような理屈でした。
① 消費税の仕組み
消費税は最終消費者が負担するもの。企業は売上で受け取った消費税から仕入や経費で負担した消費税を差し引いて国に納付する。
したがって企業は右から左に受け流すだけで負担は発生しない。
② 医療と消費税
保険が効く医療や処方箋による薬の購入は消費税非課税。これは医療に消費税をかけると消費者の負担が増えてしまうという配慮から。
なお自費診療や差額ベッド代、市販の医薬品には消費税はかかります。
③ 医療機関と消費税
医療行為は非課税ですが、医療機関は薬を仕入れる時や設備を購入する時に消費税を払っています。
したがって医療機関は消費税を払いっ放しで売上で回収することもできず、消費税が上がれば負担だけが増えます。
④ 増税と診療報酬
したがって平成元年、平成9年、平成26年の消費税導入と税率アップの際には診療報酬や薬価の改定を行ない、消費税分の上乗せをしています。
ということで冒頭の注意書きの心は「消費税が10%になったら診療報酬や薬価も上げますよ。だって病院は消費税を転嫁できないから」というところにあります。
医療費は41兆円を超え、国家予算の半分近くを占めます。
今後、高齢者人口の増加に伴いさらに膨張することが予想されます。
診療報酬や薬価の値上げは反発も予想されるだけに、消費税に関してはやむを得ないということを周知しておきたいという意図があるようです。