税制改正大綱の最後の部分に”検討事項”という項目があります。
これは今回改正したかったけど政治的あるいは時間的な都合でできなかったものを来年以降の”宿題”として載せてあるものです。
ここを読むことで来年以降の方向性が見えてくるので最終回としてご紹介しておきます。
<年金課税>
各年金間、貯蓄商品、給与課税等のバランスを考えて拠出、運用、給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する(公的年金控除の縮小など課税強化?)。
<小規模企業税制>
個人事業主、同族会社、サラリーマンの課税のバランスに配慮し、給与所得控除と人的控除のあり方を全体として見直す(法人化による節税の歯止め?)。
<寡婦控除>
家族のあり方、他控除との関係にも留意しつつ、制度の趣旨を踏まえながら検討を行なう(未婚の母への寡婦控除を検討)。
<都市農業>
生産緑地が賃貸された場合の相続税の納税猶予適用を検討。
<医療の軽減>
社保診療の事業税非課税や医療法人の軽減税率について、税負担の公平性や地域医療の確保の観点から検討する(軽減の縮小?)。
<ゴルフ場利用税>
長期的に検討する(廃止の方向?)。
増税の項目が目立ちますが、気になるのは2つ目の小規模企業税制。
これまで個人事業を法人化して組織化・近代化しましょう、という方向性だったので、これを転換するとなると小規模企業のあり方が大きく変わってきます。
法人化による節税メリットがなくなり、社会保険の加入義務のことも考えると法人にせずに個人事業としてやっていく選択肢も出てくるかも知れません。
長期の連載にお付き合い下さり、ありがとうございました。
税制改正大綱が正式に法律になる時に多少内容は変わっていきますので、内容が確定したものはまたご紹介していきます。