買換えの事前届出

posted by 2024.06.20

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 事業用買換えについては令和5年度税制改正で手続きが増えています。

今年に入って実際に適用が始まったので確認の意味も含めてご紹介します。

 

<買換えの概要>

 土地や建物等を売却すると売却益に課税されますが、事業用資産を次に買い換える場合、売却益に課税されると買換えに使える資金が減ってしまいます。
そこで不動産の有効活用の見地から、売却益への課税を繰り延べる特例が設けられています。
あくまで非課税ではなく”繰り延べ”なので取得した資産を次に売却した際には、繰り延べた部分を含めて課税されます。

 

<手続きの改正>

① 従来

・売却した同年に買換え…特に届出不要、確定申告のみ

・売却した翌年に買換え…確定申告書に「買換(代替)資産の明細書」を添付(買換え物件が決まっていなくても予定でOK)

・売却した前年に買換え…取得が先になった場合は取得の翌年3/15までに「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を提出

 通常の場合、売ってから次の物件を探して、年内に決まればそのまま確定申告し、年内に決まらなければ買換えの予定でとりあえず1年繰り延べることが可能でした。

 

② 改正内容

 買換えするかどうかを四半期のスパンで判断して届出ることが必要になりました。

<個人>
・1~3月、4~6月、7~9月、10~12月に区切って四半期の末日から2か月以内が提出期限

<法人>
・期首から3か月ごとに区切った四半期の末日から2か月以内が提出期限

 

③ 提出書類と記載内容

「特定の事業用資産の買換えの特例の適用に関する届出書」

・譲渡資産:種類、構造用途、面積、所在地、売却日、売却額、取得費

・買換資産:種類、構造用途、面積、所在地、取得日、取得額、適用条文

 

④ 適用時期

・令和6年4月1日以降の譲渡

 早ければ4月決算の法人なら6月末、つまり今月末が提出期限になります。
個人の場合は4~6月で区切るので早くても8月末です。

 

 実務的にたまにあるのが、年が明けて確定申告の準備を進めていると「そういえば去年土地売りましたわ」というケース。
従来であればそれからでも買換えを選択することが可能でしたが、改正後は売ったらすぐ届出しないといけないので、聞くのが遅ければ買換えは選べません。

 税理士への連絡は半年あるいは1年に1回という方もおられると思いますがが、買換えに関してはタイムリーな情報共有と連携が重要となってきます。