実家の売却 ④ 相続後

posted by 2024.06.17

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 先週からの続きで相続後、つまり亡くなってから実家を売却した場合の税金について見ていきます。

 

3.相続後の売却

① 取得費

 売却した不動産の原価である取得費は購入金額が原則ですが、相続や贈与により取得した場合には前の所有者の購入金額を引き継ぎます
何度も相続を経ている場合は最初の購入金額になりますが、あんまり古いと貨幣価値が違うことから極端に安いこともあり得ます。
その場合は「売却額×5%」を取得費とすることもできます。

 

② 諸経費

 取得費には購入時の仲介手数料など諸経費も含まれます。
また相続や贈与により取得した場合には、その時の登記費用や不動産取得税も含みます。
ただし維持のための固定資産税や購入後の確定申告手数料等は取得費には含みません。

 

③ 相続税の取得費加算

 不動産を相続した際に払った相続税も「取得に要した金額」と考えて、売却時の取得費に上乗せすることができます。
ただし、相続税を丸ごと上乗せできるわけではなく、次の算式により計算した金額までとなります。

・相続税額 ×(売った不動産の相続時評価額/相続時の全体の課税価格)

 この加算額は人別、売った不動産別に計算します。
相続財産のうち、売った不動産の割合が高ければ取得費加算も大きくなりますが、預金など他の財産が多ければ取得費加算は小さくなります。

 なお、この特例には売却時期が相続税の申告期限から3年以内(亡くなってから3年10か月以内)という要件があるため、売却するならこの時期を念頭に置いておきましょう。

 

④ 購入時期

 売却時の税率は所有期間が長期か短期かで倍ほど変わりますが、相続や贈与で取得した場合にはその時からではなく、以前の所有者が購入した時点まで遡って期間をカウントします。

 

 空き家の状態で売却した場合には税負担を軽くする特例がありますが、長くなるため次回へ続きます。