前回の続きで相続前に実家を売った場合の取扱いについて確認します。
2.相続前の売却
② 軽減税率
自宅を売却した場合には、税負担を軽減するため、税率を低くする特例もあります。
<概要>
・長期譲渡の所得税 15.315%⇒10.21%
・長期譲渡の住民税 5%⇒4%
<要件>
3000万円控除と要件は似ていますが、短期間の所有でもいい3000万円控除と異なり、軽減税率には所有期間10年超という要件があります。
≪3000万円控除と共通≫
・自分で住んでいた家屋、家屋と一緒に売る土地や借地権の売却
・住まなくなってから3年以内(正確には3年後の日を含む年の12/31まで)の売却
・家屋を取り壊した日から1年以内の売却で貸駐車場等にしていない
・買手が親子や夫婦など身内でない
≪軽減税率独自≫
・1月1日時点で所有期間10年超(土地と家屋両方)
・売った年の前年、前々年に軽減税率の特例を使っていない
<留意点>
・3000万円控除との併用可
・売却益に上限あり。6000万円超えると通常の税率に戻る(影響あるのは9000万円以上の利益)
③ 売却損
3000万円控除と軽減税率は売却益が出た場合の話ですが、売却損が出た場合にはそもそも申告する必要がありません。
ただし同一年に複数の不動産を売却していて、売却益と売却損がある場合には損益通算できるので申告することになります。
なお、実家売却ではあまりないかも知れませんが、自宅を買い換えた場合で売却損が出ていれば、給与所得等と損益通算したり、翌年以降に損失を繰り越せる特例もあります。
相続後に売却した場合は次回へ続きます。