実家を売却する相談が最近増えています。
背景や売却理由は次のようなものです。
・住む人がいなくなった(施設入居、子と同居、亡くなったなど)
・売却して現金化した方が相続で分けやすい
・不動産の価格が上がっている
売却した場合の税金は状況によって大きく変わります。
直前まで住んでいたのか、空き家だったのか、相続前か後かなどケース別に確認していきます。
1.譲渡所得のキホン
<譲渡所得>
・収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )
≪収入金額≫
・固定資産税の精算額を受け取った場合はそれも収入金額に含まれます。
≪取 得 費≫
・基本は購入額で売買契約書で確認します。
・建物については使用に伴う減価償却費分を減らします。この場合の耐用年数は通常の1.5倍で木造であれば22年×1.5=33年(0.031)です。
・取得費が不明な場合は「譲渡収入 × 5%」しか取得費にならず、95%が利益になってしまいます。なお購入時期がはっきりしていれば取得費を推定できるケースもあります。
≪譲渡費用≫
・仲介手数料、印紙、建物取壊し費用など
・抵当権抹消費用や紛争解決のための弁護士費用は売却に直接必要でないため譲渡経費にはなりません。
≪税率≫(分離課税)
・長期譲渡(1/1時点で所有期間5年超) :所得税15.315%+住民税5%
・短期譲渡(1/1時点で所有期間5年以下):所得税30.63%+住民税9%
実家の場合は長期譲渡になるケースが多いと思われます。
居住用の場合は税率の軽減がありますが、後述します。
<消 費 税>
土地の売却は常に非課税。
建物の売却についても、個人が住んでいた自宅を売却する場合は”事業”ではないため、消費税の対象外です。
そのため建物部分だけで1000万円以上あったとしても2年後に課税事業者になることもありません。
(つづく)