年末調整の最終回は「住宅ローン控除」です。
住宅ローンを利用して住宅を購入、新築または増改築工事をしたとき、一定の要件を満たせば入居した年から13年間(改正前は10年間)所得税の控除を受けることができます。
これがいわゆる「住宅ローン控除」で、正式には『住宅借入金等特別控除』と言います。
手続きは初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で行ないます。
年末調整で還付されるのは天引きされている所得税が上限で、引き切れない場合は住民税から控除されます。
この場合、所得税の課税所得金額の5%(金額では97,500円)が控除上限となります。
住宅ローン控除は多くの人にとって関心の高いものですが、毎年のように適用期間の延長や制度の見直しが繰り返されていて、その規定はかなり複雑です。
適用要件などを改めてしっかりと確認しておきましょう。
<年末調整での必要書類>
・住宅取得等特別控除申告書(確定申告した年の10月頃税務署から郵送されます)
・借入金の年末残高等証明書(毎年11月頃銀行から郵送されます)
申告書については2年目~13年目に使う用紙がまとめて送られてきますので失くさないように気をつけましょう。
<令和4年以降の住宅ローン控除>
購入時期によって内容は異なりますが、令和4年以降大きく変わっているので、令和4~5年分を解説します。
なお、令和6~7年は上限額が下がり、省エネなどの基準を満たさなければ控除を受けられなくなるなどガラッと変わりますが、その内容は来年以降の確定申告の解説で取り上げます。
① 原則
時 期:令和4年1月1日~令和5年12月31日
控除額:年末ローン残高 × 0.7%(改正前1%)
上 限:借入金3000万円、控除額21万円
期 間:13年間(改正前の11~13年は消費税増税分のみ)
所 得:合計所得金額2000万円以下(改正前3000万円)
床面積:50㎡以上
② 長期優良住宅または認定低炭素住宅
上 限:借入金5000万円、控除額35万円
③ ZEH水準省エネ住宅
上 限:借入金4500万円、控除額31.5万円
④ 省エネ基準適合住宅
上 限:借入金4000万円、控除額28万円
⑤ 床面積特例
床面積が40㎡以上50㎡未満でも要件を追加した上で住宅ローン控除が可能になっています。
+合計所得金額1000万円以下
+令和5年12月31日までに建築確認を受けている
改正前は消費税増税やコロナ対策などいろんな特例が入り混じっていてややこしかったですが若干シンプルになっています。
また個人間売買は建物に消費税がないため、改正前は大幅に控除額が小さかったのですがその取扱いもなくなっています。
年末調整リターンズ、10回にて完結です。