税制改正大綱7回目は法人税関係です。
法人税関係はニュースになるような派手な改正はありませんが、実務的には影響の大きい改正が行われています。
1.中小企業者の特例
① 法人税の軽減税率
・所得800万円以下の軽減税率(19%⇒15%)を2年延長
・令和5年3月31日までに開始する事業年度⇒令和7年3月31日
② 中小企業投資促進税制
・適用期限を2年延長(令和5年3月31日まで⇒令和7年3月31日まで)
・対象資産を見直し(副業でのコインランドリーを除外、一定の船舶については環境性能も要件に追加)
・軽減額(特別償却30%又は税額控除7%)は改正なし
③ 中小企業経営強化税制
・適用期限を2年延長(令和5年3月31日まで⇒令和7年3月31日まで)
・対象資産見直し(副業でのコインランドリーと暗号資産マイニングを除外)
・軽減額(特別償却100%又は税額控除10or7%)は改正なし
2.特定資産の買換え
① 概要
適用期限は3年延長されますが、要件が縮小され、手続きも一つ増えます。
なお、所得税も同様に改正されます。
② 適用要件の見直し
・一号(既成市街地等内から外)は廃止
・四号(長期保有の土地建物)で本店等を移転する場合
東京都特別区から集中地域以外へ:80%⇒90%へ引き上げ(減税)
集中地域以外から東京都特別区へ:70%⇒60%へ引き下げ(増税)
※集中地域…主に3大都市圏
③ 買換え届出書
・買換え特例を受ける旨、措置の種類、取得予定資産や譲渡予定資産の種類を決算時ではなく期中に届出が必要に。
・1年を3か月ごとに区切って、それぞれの末日から2か月以内が期限(3月決算なら8、11、2、5月)
・先行取得、交換、特別勘定を設ける場合は除く。
④ 適用時期
・②:令和5年4月1日~令和8年3月31日
・③:令和6年4月1日以後
3.暗号資産の期末評価
① 概要
法人で暗号資産を保有する場合、決算時に時価評価が必要で未実現であっても課税されるため、暗号資産関連の起業や事業開発を阻害している面がありました。
そこで自社発行の場合等に課税されないよう改正されます。
② 期末評価
・活発な市場あり:時価法で変わらず
・活発な市場なし:原価法で変わらず
・時価法⇒原価法
自社発行で発行時から継続保有
発行時から継続して譲渡制限がある(技術的または信託)
③ 取得価額
・購入:購入代価+購入費用(改正なし)
・発行:時価⇒発行費用の額へ改正
自社で発行した場合、持ってるだけで時価評価されて課税されていましたが、発行費用の額を取得価額とできるため、発行のハードルが下がっています。