税制改正大綱6回目は所得税関係です。
NISAとベンチャー支援は既に確認したのでそれ以外の項目を見ていきます。
1.高所得者課税
① 概要
所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」問題を踏まえて高所得者(所得30億円超)に追加的な税率が課されます。
② 内容
(基準所得金額-3.3億円)× 22.5%-基準所得税額
<基準所得金額の範囲>
〇 事業所得などの合計所得金額
〇 株式や不動産の譲渡所得
〇 申告不要の上場株式の譲渡所得や少額配当
〇 各種特別控除後の金額
✕ 源泉分離課税の対象となる所得
✕ NISAやベンチャー支援による非課税金額
③ 適用時期
令和7年分の所得税から
2.空家対策の延長
① 3000万円控除
・適用期限の4年延長(令和5年末⇒令和9年末)
・耐震基準や取壊し判定の緩和(譲渡時点⇒譲渡の翌年2月15日まで)
・相続人が3人以上なら控除額縮小(1人3000万円⇒2000万円)
従来は売却する前に取り壊すなど事前準備が必要でしたが、改正で売ってからの対応が可能となります。
3つ目の控除額縮小は共有にしておけば、3000万円 × 人数で控除額が大きく取れたのですが改正で縮小されます。
② 低未利用土地の特別控除
・適用期限の3年延長(令和4年末⇒令和7年末)
・譲渡後の利用要件からコインパーキングを除外
・市街化区域等で対価要件の引上げ(500万円⇒800万円)
小規模な空き地を売却した場合に100万円を控除できる特例について若干使い勝手が向上します。
3.特定非常災害の繰越期間延長
① 概要
災害による損失は3年間の繰越控除が可能ですが、特定非常災害の指定を受けた災害の場合には繰越期間が5年間に延長されます。
東日本大震災の際に臨時的に実施された特例が制度化されます。
② 対象
・事業用資産のうちに特定被災損失の割合が10%以上
・個人の住宅や家財について雑損控除で控除しきれない損失