消費税に関しては、国税庁において毎年重点事案の扱いで調査をしています。
<重点事案とされる理由>
・増税により消費税支払額が増え、還付額も増加
・日々国民が負担を実感する税金だけに不正は制度の信頼に関わる
・還付だけの申告が可能で不正申告は国としては詐欺に遭っているようなもの
<査察事案>
先日発表された「令和3年度査察の概要」においても消費税に関して7件が告発されています。
コロナ禍で調査件数は減っているものの消費税の告発件数はコロナ前とほぼ変わっておらず重点事案として注力していることが分かります。
≪運送業者≫
従業員給料の一部を外注費に仮装。また実在する業者の架空請求書を作り、不正に消費税を還付
≪貴金属卸売≫
安価で仕入れた宝石を繰り返して売買したように偽装して課税仕入れを水増し、さらに輸出したと装って不正に消費税を還付
≪免税店≫
ゲーム機を訪日客に売ったように偽装して不正に消費税を還付。実際は国内の業者に販売していた(修正申告)。
<不正還付対策>
不正還付の増加を受けて国税庁としても次のような対策を実施しています。
・不正還付の対応に特化した「消費税専門官」の新設
・還付申告は還付を一旦保留して書類や電話での確認又は実地調査の実施
・国税庁から各税務署へも対応強化を指示
最後の指示というのは、約20のチェック項目を設けて厳格に審査して1つでも引っ掛かれば還付手続きに進めない、不正還付が疑われる会社のブラックリストを作って管理するなどの内容です。
<還付申告での確認書類>
・輸出免税:輸出許可通知書、輸出インボイス等の写し
・設備投資:契約書、請求書等の写し、金銭授受など取引実態を確認できる資料
これらの書類が不足していて確認に時間がかかれば、還付保留期間が長期化します(半年~1年)。
不正は論外ですが、通常の還付申告でもこれまで以上に厳しく審査されます。
還付を速やかに受けるために、後で確認されそうな書類は当初申告時になるべく添付するようにしましょう。
また問い合わせがあった場合にも迅速に対応する必要があります。