財産の寄付を考える方が増えています。
名古屋の東山動物園のレッサーパンダ舎は遺言による寄付で建てられているそうです。
増えている要因としては社会貢献意識の高まりだけでなく相続との関わりもあります。
相続人がいない場合、財産は国庫に帰属してしまうので寄付することで自分の思い入れのある団体等に使ってもらうことができます。
税金面では”相続税が安くなる”というのが一般的な認識かと思いますが、その方法によって手続きや税金は大きく変わりますし、予想外の税金がかかってしまうケースもあるので注意点も含めて見ていきます。
1.遺贈寄付の種類
① 遺言による寄付
方 法:遺言で寄付先を指定
寄付者:亡くなった方
手続き:寄付先への事前相談が望ましい。窓口は信託銀行等が行う。
② 相続財産による寄付
方 法:財産を取得した相続人が寄付
寄付者:相続した遺族
手続き:相続人が寄付先へ直接連絡
2.税金の取扱い
① 遺言による寄付
<相続人>
・寄付先へ直接財産が行くので相続人には手続きも税金もありません。
<原則>
・寄付で財産を受け取った法人には相続税はかかりませんが、個人には相続税がかかります。
<任意団体や個人への寄付>
・原則的には個人には相続税がかかりますが、公益事業に使われることが確実であれば相続税はかかりません。
<法人税がかかるケース>
・株式会社への寄付(単なる雑収入扱い)
・非営利型でない一般社団法人、一般財団法人、NPO法人(収益事業に使用)
<相続税がかかるケース>
・実質的に団体を支配するなどして、寄付をした人の親族等の相続税や贈与税が不当に減少する場合は、法人等を個人とみなして相続税が課税されます。
遺言による寄付の場合は、国や公益法人等だけでなく一般社団法人や認定のないNPO法人向けであって非営利型であれば税金はかかりません。
相続財産による寄付の場合は公益社団法人や認定NPO法人に限られるので、遺言による寄付の方が幅広くなっています。
相続財産による寄付の税金については次回は続きます。