インボイス制度の最終回は「電子インボイス」です。
紙で請求書等をやり取りせず、メール添付やシステム上で完結するケースも増えていますが、その場合のインボイスはどうなるのでしょうか。
売り手と買い手、また電子と紙とに分けて確認します。
<売り手>
① 電子インボイスを発行
ア.電子インボイスのまま保存
事前承認も不要で保存OKですが、次の要件があります。
・タイムスタンプ付きデータ(2か月以内のタイムスタンプ、訂正不可のシステム、訂正防止の事務処理規程も可)
・見読性、検索機能の確保
・システム関係書類の備え付け
イ.出力して紙で保存
整然とした形式及び明瞭な状態で出力することが要件
なお法人税法においては電子データでの保存が必要なので、紙とデータの両方の保存が必要です。
② 紙でインボイスを発行
ア.写しを紙で保存
原則通りなので特に要件なし
イ.電子データで保存
手書きなしでパソコンのみで作成していれば電子帳簿として保存OKですが、次の要件があります(令和3年度改正で緩和後)
・見読可能性の確保
・調査時にデータのダウンロードに応じること
・システム関係書類の備え付け 等
<買い手>
① 電子インボイスを受領
ア.電子インボイスのまま保存
売り手の①アと同じ
イ.出力して紙で保存
売り手の①イと同じ
② 紙でインボイスを受領
ア.紙のまま保存
原則通りなので特に要件なし
イ.スキャンして保存
スキャナ保存制度で保存OKですが次の要件があります(令和3年度改正で緩和後)。
・2か月以内のタイムスタンプ(クラウド保存ならタイムスタンプ不要)
・見読性、検索機能の確保
・帳簿との相互関連性の確保
・システム関係書類の備え付け 等
電子を電子のまま保存する場合は、タイムスタンプがあって検索できればOKなのでハードルは低めです。
紙が絡むと要件は増えますが、令和3年度改正で大幅に緩和されているので合理化のために検討する価値はあります。