日経の記事に『医療費控除 大損につながる勘違い』という見出しがあって、そんな大袈裟な…と思って読んでみると確かに損しそうだったので紹介しておきます。
医療費控除はその年中に支払った金額から”保険金などで補てんされる金額”を差し引いた正味の負担額で控除を計算します。
”保険金などで補てんされる金額”とは例えば、民間の生保から受け取る入院給付金や健康保険から受け取る高額療養費などです。
この金額について、勘違いしそうなポイントが2つ。
<勘違い①:どこから引くか>
≪例1≫
A病院 入院費10万円 入院給付金25万円
B歯科 医療費12万円
間違い:10+12-25=▲3万円 ∴医療費控除不可
正 解:10-10+12=12万円 ∴医療費控除OK
入院給付金25万円はA病院の入院費に対してもらったものなので、そこからは引きますが、B歯科とは関係ないので引く必要はありません。
10-25で15万円は儲かったことになりますが、心身の損害をカバーする保険金は非課税であるため、税金はかかりません。
<勘違い②:引かなくていいもの>
≪例2≫
A病院 医療費30万円 がん診断給付金100万円
間違い:30-100=▲70万円 ∴医療費控除不可
正 解:30万円 ∴医療費控除OK
医療費を補てんする入院給付金は医療費から控除しますが、がん診断給付金はがんの診断を受けたことに対して払われる見舞金のようなものであって医療費を補てんするものではないので差し引く必要はありません。
同じようにリビングニーズ特約で死亡保険金並みの保険金を生前に受け取った場合も医療費から差し引く必要はありませんし、所得税も非課税となります。
<おまけ:未確定の保険金>
これは記事にはありませんが、たまに聞かれるので追加で。
保険金を請求中、あるいは高額療養費のタイムラグで年末までに入金されず、金額が確定しないことがあります。
この場合は、見込額を医療費から差し引いておいて、誤差がある場合には修正申告をする、と国税庁のタックスアンサーには書いています。
勘違いに気をつけつつ、医療費控除でしっかり税金を取り戻しましょう。