令和3年度税制改正大綱 ⑦ 法人税

posted by 2020.12.24

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 7回目は法人税に関する改正で主に中小企業向けのものを見ていきます。

 

1.所得拡大促進税制
<概要>
 中小企業向けの所得拡大促進税制について、要件を簡略化した上で2年間延長されます。

<内容>
① 基本要件
 継続雇用者の給与が1.5%以上増加⇒比較雇用者の給与が1.5%以上増加

② 上乗せ要件(税額控除が25%にアップ)
 継続雇用者の給与が2.5%以上増加⇒比較雇用者の給与が2.5%以上増加

③ 雇用調整助成金の取扱い
 給与の増加額を判定する際に雇用調整助成金を控除しないように改正されます。
ただし税額控除額を計算する際には雇用調整助成金部分を除きます

<時期>
 令和3年4月1日~令和5年3月31日までに開始した事業年度

 現行制度は2年間ずっと在籍している継続雇用者をピックアップして増加率を比較しますが、単純な給与の支給額で判定するようになります。

 

2.M&A税制
<概要>
 中小企業の経営資源集約化を促進するため、株式の取得額の70%を損金算入できる制度が創設されます。

<要件>
・経営力向上計画の認定を受けた青色の中小企業者
・計画に従ってM&Aを実施して、事業年度終了まで保有
・株の取得額の上限は10億円
・取得額の7割を「中小企業事業再編投資損失準備金」として積み立て

<準備金取崩し>
・株を売却等した場合
・5年間据え置き後、そこから5年で益金算入

<時期>
 中小企業等経営強化法改正法施行日~令和6年3月31日

 準備金なのでいずれ収益として戻しますが、M&Aをした段階では損金処理して法人税負担を抑えることができます。