納税猶予の状況

posted by 2020.07.17

omoi_man_omori

 コロナ対策の納税猶予の適用状況が公表されていました。

 令和2年4月30日から5月29日までに猶予を許可したものが国税で約450億円、地方税で約216億円でした。
以前の制度による国税の猶予は、平成30年度で年間で695億円だったので、2か月で前年度の65%相当が申請されたことになります。
制度が大幅に緩和されたこと、最も資金繰りが厳しい時期だったことがその要因であると言えます。

 件数では国税で26385件、地方税で17632件なので、1件あたり国税で約170万円、地方税で約120万円です。
内容としては国税は2月、3月決算の法人税や消費税、地方税については固定資産税や法人住民税、事業税などが主な内容と考えられます。

 

 国税、地方税、社会保険料の猶予制度は令和2年2月1日から令和3年2月1日に期限が到来するものが対象で、簡単な手続きで原則1年間支払いが猶予されます。
ただし、1年猶予だと来年の4月以降に倍支払うことになるため、1年待たずに計画的に支払うのがベターです。
資金繰りに関しては、緊急融資が下りたところも多いと思いますので、運転資金とのバランスを見ながら納税にも使っていくことになります。

 

 一方この緊急融資についても注意が必要です。
地銀など銀行が積極的であることや通常の融資枠と別枠であることから比較的大きな金額を借りられた企業が多いと思います。
保証料ゼロ、無利子、数年の返済猶予があると何か得をしたように錯覚をしますが当然返済はあとでやってきます。
3000万円、10年、返済猶予2年で借りたとすると2年後には月34万円程度の返済になります。
単純に言うと返済額の倍の利益を出さないといけないので、現状の収支から60~70万円の利益の上乗せが必要で、それを8年間継続しなければなりません。
2年後にしんどかったらその時は借入を考えよう、ということも考えがちですがこの特別枠についてはあくまで”特別”で今回限りのものなのでさらに借り換えることはできません。

 

 納税猶予、緊急融資とも急場をしのぐには大変ありがたいもので思い切った支援がされていると思いますが、収益構造の見直しなど根本的な対策を企業に対して求めるものとも言えます。
くれぐれも不要不急のものを買って気が付けばお金がなかった、というようなことがないようにしましょう。