損したものと得したものがあれば差し引きした正味の得の分だけに税金を払いたいものです。
法人税の場合は”箱”が1つだけなので全て合わせて損得を計算しますが、所得税の場合は”箱”が10個あるので損と益とを相殺(損益通算)できる組み合わせは限られます。
株式市場が荒れていますので損切りすることがあるかも知れません。
株の売却損がどういう場合に損益通算できるかを見ていきます。
<上場株式の売却損>
① 損益通算OK
・上場株式の売却益(特定口座、一般口座とも)
・上場株式の配当(申告分離課税を選択)
・投資信託の売却益
・投資信託の収益分配金
・国債や社債など債券の利子、譲渡益、償還差益
② 損益通算不可
・上場株式の配当(申告不要、総合課税を選択)
・NISA口座の上場株式や投資信託
・非上場株式の売却益
・非上場株式の配当
・FX、先物取引、仮想通貨
・給与、事業、不動産など総合課税の所得
<非上場株式の売却損>
① 損益通算OK
・非上場株式の売却益
② 損益通算不可
・上場株式の譲渡益や配当など①以外全て
<雑所得の損失>
① 損益通算OK
・雑所得内の内部通算のみOK(FX、先物、仮想通貨など)
② 損益通算不可
・総合課税の給与や事業など①以外全て
非上場株式の売却損については以前は上場株式の売却益と損益通算できましたが、平成28年からは改正によりできなくなっています。
金融所得一体課税の考え方により、上場株式等については損益通算の範囲が広く、今後も拡大方向にありますが、それ以外では全く同じ仲間同士でしか損益通算できません。
なお、損失の3年繰越ができるのも上場株式等の売却損に限られます。