昨日は遺言による寄付を取り上げましたが、それ以外でも受け取った相続人の方が寄付する場合もあります。
遺言による場合と似ているのですが多少違いもあるので確認しておきます。
1.相続税
相続や遺贈で取得した財産を国や特定の法人等に寄付した場合には相続税が非課税になります。
① 要件
・相続又は遺贈により取得した財産(生命保険金などみなし財産も含む)。
・相続税の申告書の提出期限(死亡後10か月以内)までに寄付。
・寄附先が国、地方公共団体、特定の公益法人
ただし、適用除外となる要件もあります。
・寄付から2年以内に特定の公益法人等に該当しなくなった、あるいは公益のために使っていない。
・寄付により寄付した人やその親族の相続税や贈与税が不当に減少する。
何をもって”不当”とするかは難しい部分はありますが、租税回避を逃がさないよう幅のある表現となっています。
② 寄付先
・国、地方公共団体
・教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益を目的とする事業を行う特定の法人(寄付時点で既に設立済)。
なお、遺贈のときは寄付先に個人がありましたが、相続人が寄付する場合、寄付先が個人の場合には非課税の適用がありません。
したがって個人から個人への贈与として贈与税の課税対象となります。
③ 譲渡所得課税
株式や不動産については、遺贈のときと同じで、国、地方公共団体、特定の公益法人等への寄付で、2年以内に使われるなど一定要件を満たせば、譲渡所得課税は行われません。
2.所得税
相続人が寄付した場合には、相続税が非課税になるだけでなく、所得税の寄付金控除を行けることもできます。
国、地方公共団体、特定の公益法人等への寄付であれば寄付金控除が使えるのですが、総所得金額の40%が上限となります。
なお、株や不動産など含み益があるような資産については、時価が寄付額となるわけではなく、取得費が寄付額となります。
相続税を非課税にするためには申告期限までに寄付しなければならないこと、所得税の寄付金控除も受けられることが相続人が寄付する場合の特徴といえます。
寄付をお考えの場合は要件に注意しながら実行するようにしましょう。