先日「手形の電子交換所設立へ」というニュースが出ていました。
電子的な手形は「でんさいネット」があるはずなのにと思ったら、それとは別で、紙の手形をスキャンして銀行間でやり取りするというものです。
「でんさい」は企業にとっては、手形と異なり印紙税がかからず、紛失や盗難のリスクもないというメリットがあるのですが、紙への安心からか地方で普及が進まず、取引額は19兆円と手形の260兆円に比べて大幅に少ない状況です。
銀行としても「でんさい」やネットバンキングへ移行していきたいのですが、手形の減少ペースが鈍化しているので、過渡期的な制度として電子交換所を検討していて3年後に稼働予定です。
手形の電子交換所ができれば、銀行にとってはコスト削減(期日管理や運搬)につながり、企業としては実物が必要ないため、災害時でも現金化できて、遠隔地の取り立てでは時間短縮につながります。
手形の交換額はピークの1990年に4800兆円にあったものが今は260兆円なので大幅に減ってはいます。
会計処理をしていても昔からの企業では手形は出てきますが、新しい会社ではほぼ使うところはありません。
手形減少の背景としては次のような点があります。
・コスト削減(印紙税や管理のための人件費)。
・インターネットバンキングの普及。
・手形は2回不渡りを出すと事実上倒産となるが、現金決済は当事者間の問題に留められる。
・キャッシュフロー改善のために支払サイトの短縮化。
・現金決済による値引き幅の拡大。
業界によっては取引の慣習上、手形は一定規模残っていますが、電子交換所や「でんさい」により、手形の取扱いはさらに減っていきそうです。