福利厚生費シリーズ3回目は”衣食住”に関わるものです。
3.衣食住
③ 制服・スーツ
制服、事務服、作業服等は業務上の必要性から着るものであって、労働の対価としての給料ではなく複利厚生費とされます。
制服等は他では使えないし、着るのがルールなので会社負担になって給料でもないのは当然という気がしますが、よく聞かれるのはスーツ代です。
福利厚生費となるための条件をもう少し詳しく見てみます。
・専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること。
・事務服等の支給又は貸与が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること。
つまり私用で着用しないと言い切れて、全員に支給というのが条件になるのでスーツが福利厚生費になる範囲は狭いと言えます。
④ 食事代
会社が食事代を負担した場合の取扱いは、社員食堂や仕出し弁当を想定して次の基準を満たせば、給料ではなく福利厚生費となります。
・従業員本人が食事代の半分以上を負担していること。
・会社負担額が月3500円(税抜き)以下であること。
3500円で月20日とすると1日175円で、半分本人負担となると1日350円が上限となってしまいます。
社員食堂の原価ベースなら可能かも知れませんが、外食するのは事実上不可能な金額です。
実務上は外食も経費にしていますが、名目としては「会議費」や「懇親としての福利厚生費」になってくるので、毎日であるとか特定の人ばかりになると給料と指摘される余地はあります。
なお現実に即した例外として次のようなものもあります。
・食事を支給できない深夜勤務者に現金を支給する場合は、1食当たり300円(税抜き)までOK
・残業や宿日直時の食事代は無償で支給してもOK
⑤ 社宅(従業員の場合)
住宅手当という形で給料に含めると、給与として課税され、社会保険料の対象にもなりますが、社宅として家賃を徴収しておけば、給与課税されず、社会保険料の対象にもなりません。
必要な徴収額は『賃借料相当額の50%以上』で、賃借料相当額は次により計算されます。
① 賃貸物件の家賃
② ア~ウの合計額
ア.建物の固定資産税課税標準額×0.2%
イ.12円×坪数(建物床面積/3.3)
ウ.土地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
自社物件の場合は②で計算しますが、賃貸物件であれば①②のいずれでも構いません。
②を実際に計算して50%を掛けると、大阪で5000円以下、東京でも1万円以下になるので、①の家賃の半分より本人負担額は少なくなります。
なお算式中の『固定資産税課税標準額』は『固定資産税評価額』でないことにご注意下さい。
居住用なので土地部分については課税標準額の方が大幅に金額が小さくなります。
(つづく)