厚生年金の保険料支払いは現在70歳までですが、これを75歳まで延長することが検討されています。
背景としては働くシニアの増加と年金財政の逼迫があります。
総務省の調査によると60~64歳の就業率は2018年平均で、68.8%、65~69歳は46.6%でともに10年前に比べて10%以上増えています。
年金財政の面では、現状60%を超える所得代替率(年金受給額÷現役時代の平均手取り)が2050年頃には50%近くまで下がると言われています。
今後、加入期間だけでなく加入範囲の拡大も含めて検討されていますが、現状で何を何歳まで払えばいいのかなど加入条件を確認しておきます。
<厚生年金>
≪原則≫
・70歳未満(下限なし)※
・1週及び1ヶ月の所定労働時間(日数)がフルタイムの3/4以上
≪例外≫
・週の所定労働時間が20時間以上
・雇用期間が1年以上見込み
・賃金の月額が8.8万円以上
・学生でない
・常時501人以上の企業に勤務
※70歳以上でも老齢年金をもらえる加入期間に満たない場合は任意加入できます。
<国民年金>
・20歳以上60歳未満 ※
・自営業者、学生等
※60歳以上でも老齢年金をもらえる加入期間に満たない場合は最長70歳まで任意加入できます。
<健康保険(協会けんぽ)>
・74歳未満(下限なし)※
・それ以外の条件は厚生年金と同じ。
※退職後2年間は任意継続ができます。会社負担がないため、健康保険の負担は現役時代の倍になります。厚生年金には任意継続はないため、国民年金に加入することになります。
<後期高齢者医療制度>
・75歳以上(上限なし)
・65~74歳で一定の障害がある方
・個人単位で加入 ※
※国民健康保険は世帯単位で計算されるので上限も世帯で決まりますが、後期高齢者医療は個人単位で上限が決まるため、夫婦で所得が高い場合は大幅に負担が増えることがあります。
<労災保険>(会社負担)
・すべての労働者(年齢制限なし、正規非正規パート等の区分もなし)
<雇用保険>
・年齢制限なし ※
・週の所定労働時間が20時間以上
・31日以上雇用見込み
・学生でないこと
※平成29年より65歳以上も対象になりましたが、保険料は平成31年度まで免除されています。
共通しているのは働き続ける限り負担をお願いするという方向性です。
財政のことを考えるとやむを得ない部分もありますが、制度の仕組みを理解して保障と負担のバランスを考えていきましょう。