新聞などにリークされてくる脱税のニュースはだいたいが『架空経費』なので、報道が出ても「またか」という感じなのですが、先日珍しく『過大な役員報酬』のことが出ていたので目を引きました。
報道によると、除染を下請けする企業で3年間に約76億円の役員報酬が支払われ、そのうち代表取締役会長分30億円が過大と指摘されました。
売上規模はというと19億円から105億円に急拡大していたようです。
ざっくり言うと、売上100億円に対して代表取締役会長の役員報酬が10億円。
これは多いのか少ないのか。
もちろんすごい金額ではあるんですが、多過ぎると言われるほどなのか。
じゃあゴーンさんはどうなるんだ、という話もあります。
この会社の状況や役員の業務について詳しいことは出ていませんし、不服審判所に審査請求をしているようなので、今後詳細が分かればご紹介するとして今回は一般的な内容を解説します。
税務の規定上は、役員報酬については、定期同額給与、事前確定届出給与又は業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
さらにこの3つに該当しても不相当に高額な部分は損金の額に算入されません。
不相当に高額な部分はどう計算するのかというと、法人税法施行令70条に次の記載があります。
① 下記の内容に照らし、相当額を超える部分
・役員の職務の内容
・その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、
・同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況
② 定款の規定又は株主総会、社員総会等により決議した限度額を超える部分。
②に関しては、決議を取って議事録さえ残しておけばいいのでウッカリのないように注意すれば大丈夫です。
①に関しては最近の判例で興味深いものがあるので次回取り上げます(つづく)。