空き家と税金の2回目は「相続税」について見ていきます。
空き家かどうかで変わってくるのは「評価額」と「小規模宅地等の特例」
です。
1.評価額
① 貸家建物
・賃貸中:固定資産税評価額✕(1-0.3)
・空き家:固定資産税評価額✕1.0
貸していれば処分に制約を受けていると考え、3割評価が下がります。
空き家になると評価減はなく、固定資産税評価額そのものが評価額になります。
② 貸家の敷地
・賃貸中:路線価×面積✕(1-0.6×0.3)
・空き家:路線価×面積
貸家の敷地になっていれば18%(借地権60%の場合)評価が下がりますが、空き家になると評価減はありません。
なお相続時点でたまたま空き家になっているケースは評価減できます。
2.小規模宅地等の特例
亡くなった方が住んでいた土地は小規模宅地等の特例により8割減することができますが、相続した方が空き家にせずに住み続けるのが原則です。
ただし例外的に8割減できるケースもあります。
① 配偶者
配偶者が相続して別のところに住んだとしても8割減の適用があります。
② 同居親族
相続後に別のところに住んで、同居していた家には住まずに空き家にした場合には8割減の適用はありません。
10ヶ月後の申告期限まで所有して住み続ければその後空き家にしたとしても適用はあります。
③ 別居親族(家なき子)
①も②もいない状態で持ち家のない別居親族が相続した場合は、いずれ帰ってきて住む可能性もあることから、住まずに空き家にしていたとしても8割減の適用があります。
土地や建物の評価に関しては空き家になると上がってしまいますが、小規模宅地等の特例についてはたとえ空き家になるにしても相続の仕方によっては評価を8割減できるケースもあります。
8割減は影響が大きいので遺産分割を考える上での1つの要素になってきます。
次回は空き家と譲渡所得税について見ていきます。