災害と税金の3回目は一番よく使う規定である「所得税の軽減」を見ていきます。
3.所得税の軽減
① 雑損控除
<概要>
・災害、盗難、横領による損失を所得金額から控除できます。
<対象資産>
・本人又は扶養親族の所有資産。
・事業用の資産や在庫は対象外。
・生活に通常必要でない資産は対象外(例:別荘、ゴルフ会員権、30万円超の貴金属等)
<控除額>
・次のいずれかの多い金額
イ.差引損失額-総所得金額等の10%
ロ.災害関連支出-5万円
損失額の計算が難しい場合でも実際にかかった取壊し費用なら把握しやすいのでどちらかを選べるようになっています。
・差引損失額=損害金額+災害に関連したやむを得ない支出-保険金額
・損害金額 : 時価による損害(簿価でもOK)
・災害に関連したやむを得ない支出 : 取壊し、除去費用+原状回復費
<繰越>
・控除しきれない場合は翌年以後3年繰り越し可能。
<手続き>
・確定申告は必要。
・災害関連支出の領収書を添付。
・罹災証明等が必ずいるわけではありません(火災や盗難は証明書が必要です)。
雑損控除は災害に限らず、もろもろの損失を所得から控除する制度ですが、災害に絞っていうと災害減免法による税額免除もあります。
両方を比較して有利な方を選べます。
次回はもう一方の災害減免法を紹介します。