国税庁のHPで平成29年度のマルサの活動状況が公表されていました。
通常の税務調査と違い、悪質な脱税を追いかけるのがマルサ(査察)ですが、どんな業種がマークされているか、どんな手口が使われているのか興味深いのでご紹介します。頭の中であのテーマ曲を流しながら読んでみて下さい。
1.処理件数163件 うち告発件数113件(69.3%)
着手件数、処理件数、告発件数とも減っています。
脱税が減ったというより複雑化した分、1件当たりにかかる時間が増えていると考えられます。
処理件数のうち7割で告発に到っています。
2.一件当たりの脱税額(告発分)8900万円
毎年1億円前後で推移しています。これは告発の目安となる脱税額が1億円であることによります。
3.税目ごとの特徴
告発された113件の内訳は法人税61件、消費税27件、所得税19件、その他6件でした。
法人税や所得税は減っていますが、消費税は年々増えています。
増税が近いだけに国民の理解を得るためにも消費税を重点的に調査しています。特に不正還付に対する調査が増えています。
4.業種の特徴
多いのは①建設業、②不動産業、③人材派遣業、で上位①②は3年ほど変わっていません。
景気のいい業界が上位に来る傾向があります。
5.脱税の手口
<所得税>
・チケットのネット販売を他人名義で行なって申告せず、高級外車の取得費用に充てていた。査察はメールやSNSを分析して実態を解明。
<消費税>
・化粧品輸出会社が国内で架空の課税仕入れを行ない、架空の輸出をしたものとして消費税を不正還付。
<法人税>
・太陽光発電システムの販売会社が架空外注費を計上して送金後、現金で戻させて増資資金や自宅購入費用に充てていた。
<現金の隠し場所>
・床下収納の金庫の中に5000万円。
・階段下の金庫に5900万円。
・クローゼットのトランクと靴箱の中に約1億5000万円。
隠し場所に関してはまさに「マルサの女」の世界。
脱税の手口については多少目先は変われども売上除外と架空経費というのは昔からあまり変わっていません。
一見バレなさそうなものもちょっとしたきっかけで必ずバレますのでくれぐれも魔が刺すことのないようにしましょう。