株式評価の7回目は非上場株式(取引相場のない株式)の続きです。
次の4つのステップで評価していきますが、今回は④ 類似業種比準価額の評価 を取り上げます。
① 評価方式の判定(原則or例外)
② 会社規模の判定(大中小)
③ 純資産価額の評価
④ 類似業種比準価額の評価
<概要>
類似業種比準価額は②の会社規模でいうと原則大会社に使う評価方法です。
大会社を上場企業に準ずる会社とみなして同業上場企業の株価平均から評価額を求めていきます。
したがって自社の経営内容もさることながらそれ以上に世の中の株価の動きに左右されやすい評価方法と言えます。
大会社の場合は類似の株価をそのまま使いますが、中会社や小会社の場合は類似のブレンド割合が変わります(中は0.90、0.75、0.60、小は0.50)。
評価軸は3つあります。
・配当
・利益
・純資産価額
これらが上場企業の何倍にあたるか(比準割合)を計算して株価平均に掛けていきます。
株価平均は次の5つの中で最も低い金額を使います。
A:課税時期の属する月(贈与や相続があった月)
B:Aの前月
C:Aの前々月
D:前年平均株価
E:A以前2年間の平均株価
ここまでが原則的な評価方法ですが例外もあります。
<類似業種比準価額が使えない場合>
・開業前又は休業中
・開業後3年未満
・清算中
・比準要素0
これらは同業平均と比べるには状況が特殊過ぎるので類似が使えず、純資産価額で評価します。
・土地保有特定会社
事業をしているというよりは土地保有が主目的になっている会社は同業平均と比べるのも無理があるので類似が使えず、純資産価額で評価します。
<類似業種比準価額が一部しか使えない場合>
・比準要素1
配当、利益、純資産価額の3つの要素のうち、2つが0だと極端に比準割合が低くなってしまうので純資産価額で評価するか、使えたとしても類似は25%までです。
・株式保有特定会社
株保有が主目的になっている会社も同業平均と比べることに無理があるので類似をそのまま使うことができません。
株とそれ以外の資産とに区分してそれ以外の部分にだけ類似を使うことができます。
<今回のポイント>
・類似は同業の業績に左右されるので不景気だと株価は低く出やすい。
・3つの比準要素が揃わないと類似が使えず株価が高くなってしまうが、あえて配当をするなどの対策も可能。
・やはり株価の定点観測は必要。