退職金は退職時に一括で受け取るのが通常ですが、同族会社の役員に関しては分割で支給することがあります。
分割で支給する理由としては次のようなものがあります。
・貢献度が大きく、経費も目いっぱい計上したいので多額になりがち。
・資金繰りの都合で一括払いはしんどい。
・同族なので少々は支払いを待ってもらえる。
・対銀行などの関係で極端な赤字にはしたくない。
規定上は法人税基本通達9-2-28に定めがあります。
・原則:株主総会の決議等で金額が確定した事業年度の経費。
・例外:支払った事業年度に損金経理すれば分割で経費にしてもOK。
この例外に関しては分掌変更の場合は認められないというのが従来の考え方でした。
”分掌変更”とは業務内容が変わることで、役員の場合は「取締役⇒監査役」「常勤役員⇒非常勤役員」と役職が変わり、業務内容が変わることを言います。
さらに役員報酬が半減していれば退職と同様の状況とみなして、役員退職金を支給することができます。
ただしこれは特例的な扱いなので、退職金は分割支給ではなく一括支給して退職の事実をはっきりさせて下さい、というのが従来の税務署の考え方でした。
しかし分割支給することのも合理性があると裁判に訴えて納税者が勝訴しているのですが詳しい内容は次回に続きます。