前回の続きで海外との取引に関する消費税の改正について見ていきます。
1つ目は「ネット取引の内外判定見直し」で難しく言うと「電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し」です。
Q1
電気通信利用役務の提供とは?
A1
電気通信回線(ネット)を介して行われる電子書籍や音楽、ソフトウェア等の配信のほか、ネット広告の配信やクラウドサービスの提供、さらには電話や電子メールなどを通じたコンサルタントなどを言います。
ちょっとこれでは分かりにくいと思いますので具体的なサービスを聞くとよりイメージが湧くと思います。
Amazonの電子書籍、iTunesの音楽、Googleアドワーズ、DROPBOX、インターネット英会話などが該当します。
なお電話やネットなど通信そのものや情報収集・分析の依頼は該当しません。
Q2
内外判定って?
A2
消費税は「国内におけるサービスの提供」にかかります。
A1で挙げたサービスは消費者が国内で利用しても、提供している会社が海外にあれば「国内で提供した」とは言えません。
一方、日本の会社が国内で電子書籍や音楽を配信すると消費税がかかります。
消費者にとってはネット上で購入する点は同じなのに提供する会社の場所によって消費税がかからないというのはビジネス上フェアとは言えない!と国内の事業者から異論が出ていました。
Q3
どう変わる?
A3
提供する会社の場所ではなく消費者のいるところで判定して消費税をかけます。
これによりアマゾンの電子書籍やグーグルの広告サービスに消費税がかかることになります。
逆に日本企業が海外向けに提供するサービスには従来日本の消費税がかかっていましたがこれがかからなくなります(海外の消費税はかかるケースがあります)。
その意味では競争条件は統一されたと言えます。
なお平成27年改正当時は事業者の本店だけで判定していましたが、平成29年以降は日本企業の海外支店と海外企業の日本支店に関する取扱いが改正されました。
日本企業の海外支店が受けたサービスは国外取引で消費税がかからず、海外企業の日本支店が受けたサービスは国内取引として消費税がかかります。
次回はリバースチャージ方式を取り上げます。