昨日は一般的な私道の評価でしたが、今日は応用編として「歩道状空地」と「公開空地」の評価について見ていきます。
どちらも聞きなれない言葉ですが、高層マンションの敷地内にある空地には見覚えはあるのではないでしょうか。
高層マンションなどを建てる際に建築基準法や市の開発要綱との兼ね合いで空地を設ける必要があります。
そのうち緑地など単なる空地になっているのが「公開空地」で通路になっているのものが「歩道状空地」です。
これらも自由に処分することができない一種の”私道”と言えますがどう評価するのでしょうか。
<公開空地>
質疑応答事例には次のように書かれています。
「建物を建てるために必要な敷地を構成するものであり、建築基準法上建ぺい率や容積率の計算に当たっては、その宅地を含めて算定するものであること等からみて一般の建物の敷地と何ら異なりません。」
つまり建築に必要な土地なので空地になっているからと言って特別な評価減はない、ということです。
<歩道状空地>
現在、裁判の真っ最中で確定していませんので経緯を整理しておきます。
① 納税者:期限内申告で0円評価。不特定多数が通行している。
② 納税者:修正申告して3割評価。特定の者が通る私道。
③ 税務署:3割評価できないと更正。私道に該当しない。
④ 地裁高裁:税務署と同じ判断。処分に制約がないので私道ではない。
⑤ 最高裁:差し戻し。制約の有無は関係ない。利用状況等を鑑みて総合的に判断すべき。(少なくとも3割評価はできそうです)
今回の判断は小学校の通学路にも指定されているなど第3者が自由に通行できる状態であったことも考慮されているようです。
よくある事例だけに法的な厳格性もさることながら現実的な処分可能性も踏まえて今後の指針を出していって欲しいところです。
裁判の確定や新たな取扱いの発表があればまた取り上げたいと思います。