”死後離婚”という言葉からは夫が亡くなったあとに離婚するというイメージがありますが制度上亡くなった人と離婚するということはあり得ません。
”死後離婚”はあくまで造語で、正確に言うと「夫の死後に姻族関係終了届を出すことで夫の義父母等と親戚でなくなる」手続きと言えます。
その意味では夫と結婚していたことから発生する権利は”死後離婚”してもなくなることはありません。
具体的には遺族年金の受給権と相続権とがありますが、死後離婚しても影響はありません。
死後離婚したからと言って相続した財産を返す必要はありませんし、死後離婚後に新たに相続財産が見つかったとしても相続権はあります。
相続税の計算上も配偶者の税金が大幅に安くなる「配偶者の税額軽減」という制度がありますが問題なく使うことができます。
経済的な不利益もないことから死後離婚する方は増えているようで2006年に1854件だったのが2015年には2783件になっています。
提出しているのは圧倒的に妻の方が多いようで遺された夫が提出する例は少ないようです。
少子高齢化社会が進む中で、介護や終活、お墓のあり方も複雑化、多様化しており、”死後離婚”ブームもその側面の1つと言えるかも知れません。