「毎年同じ時期に贈与したらまとめて税金かかるって聞いたんですけど…」
こんな質問を受けることがあります。
例えば毎年孫の誕生日である7月1日に110万円、しかも最初に今後5年間続けるから、と宣言があったとします。
国税庁のタックスアンサーによるとこの例だと1年ごとに110万円の贈与を受けたのではなく最初の年に「毎年110万円、5年で550万円をもらう権利」をもらったと考えます。
この権利は「定期金に関する権利」と呼ばれるもので計算方法は複雑ですが予定利率を2%とすると評価額は約518万円になります。
ということは毎年110万円ずつで贈与税0円のつもりが最初の年に約57万円の贈与税がかかることになります。
極端な例ですがこんな話を何かで聞いて心配されているのでしょう。
一方この例と似た商品が銀行から発売されています。
① サービス申込み(110万円を5年続ける契約)
② 銀行が毎年贈与契約書を作成し、あげる人ともらう人が押印
③ 銀行が資金を移動(あげる人の口座⇒もらう人の口座)
④ ②~③を5年間繰り返し
この商品に関しては銀行が国税局から「毎年の贈与で問題なし(贈与税0円)」のお墨付きをもらっています。
最初にご紹介した例と何が違うのでしょうか。
ポイントは毎年贈与契約書を作成してもらう人あげる人の意思確認をしている点です。
銀行の商品は最初に5年続けることを前提にしながらもその都度確認しているので贈与契約は毎年成立しています。
贈与を書面により行なっている場合は契約の効力発生時に贈与も確定します。
ということはたとえ毎年全く同じ時期に全く同じ金額を贈与したとしても契約書さえ作っておけば大丈夫ということになります。
贈与契約書は簡単なものでいいので自分でも作れますが、この銀行の商品のメリットは次のような点です。
・契約書を作ってもらえるのが楽チン
・資金の移動をしてもらえるのが楽チン
・忘れないよう連絡してもらえるのが楽チン
毎年贈与を続ける方は口頭での契約ではなく毎年書類を作成することがベターですが111万円(贈与税1000円)や120万円(贈与税1万円)の贈与をして贈与税の申告納税をしておく方法もあります。
申告するのはもらった人なのでもらった認識は確認できるし、あげた方が振込をしていればそのことであげる意思も確認できます。
逆に一番弱いのは現金で110万円あげて申告もなければ証拠もない状態です。
ちょっとしたことですがあとでとやかく言われないよう贈与契約書の作成やあえての贈与税申告をお薦めします。