国税庁からマルサの実績が公表されています。
全体の傾向としては件数、脱税額とも減少しています。
不真面目な人が減ったのか、あるいは取引の複雑化で調査が難しくなったのかは分かりませんが、内容をもう少し見てみましょう。
<件数と金額>
・平成27年度の着手は189件(前年比-2件)、処理件数は181件(同+1件)、告発件数は115件(同+3件)。
・脱税総額は約138億円(同-11億円)、1件当たり7600万円。
・告発総額は約112億円(同-11億円)、1件当たり9700万円。
<内容>
・法人税が69件と6割を占め、所得税が25件、消費税が12件と続きます。
・取引金額の大きい法人税がやはり多いですが、消費税増税に伴い今後件数は増えると考えられます。
・業種では1位建設業、2位不動産業、3位クラブ・バーと続きます。好況な業種が上位に来る傾向にあります。
<手法と手口>
・手法としては建設・不動産では売上除外や架空経費、クラブ・バーでは源泉所得税の不納付が多かったようです。
・脱税請負人への依頼、輸出取引による消費税の不正還付、海外の配当除外などの事例もありました。
・隠し場所としては預貯金、絵画、高級車、ギャンブル、愛人などのほか、クローゼットなどに無造作に置いている事例もありました。
金額的には脱税額が1億円以上が告発(逮捕)の目安とされていますが、データ上も平均約1億円で告発されています。
手口は映画であったようなものとあまり変わっていませんので時代が変わっても考えることは同じなのかも知れません。
最近の傾向としては海外、ネット取引、消費税がよりマークされています。
マイナンバー導入もあり、査察の調査も変わっていくかも知れませんが、脱税を巡る仁義なき戦いは続いていきそうです。