毎年この時期に公表される国税局査察部、通称「マルサ」の調査状況が国税庁HPに出ていたのでご紹介します。
1.データ
・処理件数151件(前年139件)、うち告発件数101件(前年103件)
・1件当たりの脱税額8800万円(前年9700万円)
・コロナ期に件数が3割ほど減りましたが、今は通常ベースに戻っています。
・重点分野:消費税、無申告、国際、社会的波及効果の高い事案
2.業種の特徴
・告発件数:① 不動産業 ② 建設業 ③ 人材派遣 ④ 小売業
・上位の顔ぶれは前年と大きく変わりません。景気のいい業種が上位に来ることが多いです。
3.隠し場所
・使いみち:高級車、株、暗号資産、ギャンブル(海外やネットも)、飲食遊興費
・隠し場所:天井裏、階段下収納、断熱材の下、蔵に置かれた木箱、貸金庫など
・使いみちの海外やネットのカジノというのが昔との違いを感じます。隠し場所はまさに「マルサの女」の世界です。
4.重点事案
① 消費税
・高級腕時計の架空仕入れ+不正入手したパスポートで架空の免税売上を立てて消費税を不正還付
・架空の不動産売買契約書を作成し、消費税を不正還付
② 無申告
・タトゥースダジオ経営者が知人親族名義の口座に売上を入金して無申告
・出版社からの原稿料や印税を無申告
③ 国際
・未公開株を海外法人に移したと偽装し、売却収入を個人で申告せず
・架空経費で浮いた資金を海外での生活費やギャンブルで費消
④ 社会的波及の高い事案
・脱税請負人が節税とうたって広く納税者を勧誘
・ネット上の物品販売やノウハウを指南する事業者が架空経費と売上除外で脱税
手口については売上除外や架空経費といった内容は昔から変わっていませんが、ネットや海外が絡むことで巧妙かつ複雑にはなっています。
重点分野についてはここ数年傾向が変わっておらず、何もしていない普通の人にもチェックが入るほどです。
いずれにしてもマルサを甘く見ないようにしましょう。