前回の続きで住宅手当ではなく社宅にした場合の取扱いを確認します。
1.契約者
① 住宅手当
賃貸の場合、住宅手当であれば従業員又は役員が契約者となり、好きな物件を選ぶことができます。
会社は手当という形で補助を行うことになります。
② 社宅
社宅であれば会社が契約者になりますが、金額上限や場所などのルールを決めた上で従業員自身に物件を探してもらうことが多いようです。
会社の所有物件の場合、契約者という概念はなく、場所も決まってきます。
2.手続き
① 住宅手当
会社は補助する金額だけ決めればいいので手続きは簡単です。
また段階的に縮小する場合も給与計算を変えるだけで済みます。
② 社宅
物件ごとに社宅家賃の計算が異なるので、資料収集と計算が必要です。
3.課税関係
① 住宅手当
手当として所得税と住民税が課税されます。また社会保険料や雇用保険料の計算にも影響するのでその分手取りは減ります。
② 社宅
一定額以上を従業員又は役員から徴収すれば給与扱いにならず、税金や社会保険料等への影響がありません。
会社としては社宅家賃を控除した差額が「福利厚生費」として経費になります。
4.敷金礼金
① 住宅手当
契約者が従業員本人なので敷金礼金の負担も本人になります。
会社が負担してあげた場合は、その分も給与として課税されます。
② 社宅
契約者が会社なので敷金礼金の負担も会社になります。
礼金は20万円未満であれば一括経費で、20万円以上であれば「繰延資産」として資産計上され、賃貸期間で償却していきます。
更新時に再度礼金が発生する契約であれば更新までの期間で償却し、礼金が再度発生しない自動更新の契約であれば5年間で償却します。
なお礼金の消費税は家賃部分と同様に居住用の非課税が適用されます。
社宅家賃の計算は従業員と役員で違いがありますが、次回へ続きます。