年末調整時や入社時に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の右上に『従たる給与についての扶養控除等申告書の提出』という欄があります。
この欄を使うことってあるのでしょうか。
『従たる給与』の対義語は『主たる給与』で次のような違いがあります。
<主たる給与>
・メインの給料
・社会保険に加入(※1)
・扶養控除等申告書の提出必要
・所得税を甲欄で計算
・年末調整あり
・定額減税あり
・住民税を天引きする
<従たる給与>
・副業の給料
・勤務時間等の要件満たせば社会保険加入(※1)
・扶養控除等申告書の提出は原則不要(※2)
・所得税を乙欄で計算(※3)
・年末調整なし(確定申告で精算)
・定額減税なし
・住民税を天引きしない(※4)
※1 社会保険
副業の従たる給与であっても常時雇用者の3/4以上の所定労働時間があれば社会保険の加入義務があります(パート等は20時間以上など別基準あり)。
その場合は給与を合算して社会保険料を計算してから、給与の額に応じて各社に振り分けます。
※2 扶養控除等申告書
「主たる給与の見積額<所得控除の見積額」であれば、従たる給与の勤務先に扶養控除等申告書を提出できます。
※3 乙欄
副業の場合は原則として源泉徴収税額の乙欄を使用します。甲欄に比べると4倍以上の高い金額で天引きされます。
ただし、※2の従たる給与に関する扶養控除等申告書が提出されている場合には計算方法が異なります。
月額表を使う場合は扶養親族等一人につき、1,610円、日額表を使う場合は扶養親族等一人につき50円を天引額から控除します。
※4 住民税
原則として合算した給料にかかる住民税が主たる給与から天引きされますが、市役所に申請すれば従たる給与分を普通徴収にすることもできます。
なかなか使うことのないマニアックな論点ですが、副業が一般化してくると使うケースも増えてくるかも知れません。