国税庁から令和5年分の所得税、消費税、贈与税の確定申告状況が公開されていました。
電子申告や所得税に関しては例年と同じような感じで増えているんですが、令和5年から大きく状況が変わったのが消費税と贈与税です。
1.所得税
・不動産の譲渡所得:5.4兆円⇒6.1兆円(+11.8%)
・株式の譲渡所得 :4.1兆円⇒5.7兆円(+39.4%)
資産価格の上昇に伴って、不動産、株式の両方で申告者数、所得とも増えていて、平成15年以降で最多となっています。
株式については特定口座で申告不要の人は含まれていないことから、実際の所得はもっと多いと考えられます。
2.消費税
・申告者数:99.4万件⇒197.2万件(+86.9%)
・納税額 :6277億円⇒6850億円 (+9.1%)
申告者数はほぼ倍増していますが、納税額は1割も増えていません。
これは新たにインボイス登録した人が10~12月の3か月分だけ納税していることや2割特例を利用した人が73.4万人いたことが要因です。
2割特例は令和8年まで使えるのであと3年は納税額への影響が限定的になると考えられます。
3.贈与税
・申告者数:49.7万人⇒51.0万人(+2.6%)
・納税額 :3200億円⇒3548億円(+10.8%)
暦年課税の申告者数の増加は1.5%ですが、相続時精算課税は13.3%増えています。
令和5年から暦年課税の相続時の生前贈与加算が3年から7年に延びる一方、精算課税に110万円控除が導入され、暦年課税から精算課税へ誘導する改正が行われています。
その影響で精算課税の件数は増えていますが、まだ暦年課税の1割ちょっとに留まるので様子見の方が多いようです。
国税庁のパンフレット、新聞や雑誌の記事、金融機関からの勧誘など様々な情報が飛び交っていますが、雰囲気に踊らされずに納得した上で進めるようにしましょう。