相続財産法人とは

posted by 2024.05.22

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 少子高齢化の影響で相続人の数が減る傾向にありますが、極端な場合、相続人が誰もいないケースもあります。
その場合の財産は誰が引き継ぐのでしょうか。また相続税はどうなるのでしょうか。
財産については最終的に国に行きますが、様々な手続きがあるので順に見ていきます。

 

① 相続人不存在の状況

・戸籍上相続人がいない(配偶者、子、父母祖父母、兄弟姉妹がいない)

・借金が多いなどの理由により相続人全員が相続放棄をしている

 

② 相続財産法人の成立

 相続人が誰もいない場合、財産を管理するために相続財産法人ができます。
民法951条により自動的に法人がある”体”になるので、登記により設立されるわけではありません。

 

③ 相続財産清算人の選任

 法人ができただけでは管理する人がおらず手続きが進まないので、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します(通常は弁護士)。
これは必ず選任されるわけではなく、利害関係人からの請求が必要です。
利害関係人とは、被相続人に債権がある人(お金を貸していたなど)、特別縁故者(生計一、療養看護していた、親しい親戚など)などが該当します。
なお、選任は管理が必要なだけの財産があることが前提です。

 

④ 相続財産法人での手続きの流れ

 相続債権者、受遺者への請求申出の公告(2か月以上):申出あれば支払い
   ↓
 相続人の捜索(6か月以上):いなければ次へ
   ↓
 特別縁故者への財産分与
   ↓
 不動産などの共有持分は共有者へ
   ↓
 残った財産は国庫に帰属

 

 相続人不存在の場合、時間も手間も費用もかかる上に最終的に財産は国に行ってしまうことになります。
財産を渡したい人や寄付した団体等がある場合には、生前に遺言等を作っておくのがベターです。

 

 相続財産法人に関わる税金の取扱いについては次回見ていきます。