お客様のところに行ってたまに税務調査の話題になると、
「最近、税務調査来ませんね」
と言われることがあります。
減っている要因としては、更正期間(調査で遡れる期間)が3年から5年に延びたこと、コロナがあったこと、税務署も人手不足であることなどがあります。
そんな中、日経新聞に「税務調査、AIを武器に」という記事が出ていました。
AIに過去の申告漏れの事例などを学習させて、膨大な資料の中から疑わしい法人をピックアップして実地調査しているようです。
調査件数は減っているのに追徴税額は過去最高になっており、AIもそこに貢献しているようです。
元々、税務署には「KSKシステム」というものがあって、調査先の絞り込みにも使われていました。
KSKシステムは次のような基準で調査先を選定しています。
・数字の著しい変動(売上の急増や急減、粗利率の大きな変動、外注費や手数料、広告費など経費の急増)
・役員退職金や貸倒損失など金額の大きい特別損失がある
・過去に重加算税を課されている
・調査間隔が空いている
・数字が操作されている可能性がある(少額過ぎる利益、1000万円5000万円ギリギリなど消費税に影響する売上げ)
・申告漏れ上位の業種、海外や富裕層など強化業種
・消費税の多額の還付申告
システムで抽出した候補をさらに経験や勘に基づいて分析して絞り込んで、実際の調査先が決まりますが、法人数はどんどん増えているので人力の部分に限界がありました。
そこでAIを活用することで多くの件数を従来より高い精度で分析できて、経験や勘に頼らずに調査先の選定ができつつあるようです。
したがって、AIを使ったからと言って急に今までに見えなかったものを見抜いて調査先を選定しているわけではなく、基本的な選定基準は同じであると考えられます。
とは言え、調査が来そうだから備えるということではなく、いつ調査の電話があっても焦らなくて済むよう普段から資料の整理などを心掛けておきましょう。