年末調整リターンズ2022 ⑥ 配偶者控除

posted by 2022.11.21

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 先日もお客様から相談があったんですが、「賃上げしても103万円超えないように調整されたら結局賃上げにならないし、人手も足りなくて困る」という話を時々聞きます。
この103万円という基準は所得税に関して言うと平成30年から150万円に変わっていますので解説していきます。
今はむしろ社会保険の扶養ラインである130万円で調整する方が多いようです。

 分かりやすくするため「サラリーマンの夫、パートの妻」というモデルでポイントをおさらいしておきます。

 

【ポイント】

・妻の収入の上限を103万円⇒150万円に引き上げ(減税)

・夫の収入が高ければ配偶者控除と配偶者特別控除を縮小(増税)

 

【配偶者控除】

 以前は妻の給料が103万円を超えるかどうかという基準だけでしたが、今は夫の所得が多いと減額されます。

夫の合計所得金額(カッコ内は給料のみの場合):配偶者控除額
・900万円(年収1095万円)以下       :38万円
・900万円超950万円(年収1145万円)以下 :26万円
・950万円超1000万円(年収1195万円)以下:13万円
・1000万円(年収1195万円)超       :

 なお、老人控除対象配偶者(70歳以上)の場合の控除額は上から「48万円・32万円・16万円」となります。

 

【配偶者特別控除額】

 従来は妻の給料が103万円~141万円となった場合に、103万円を超えて急に控除がなくならないように段階的に控除額が定められていました。

改正により夫の給料も考慮することになり、最高38万円の控除が、妻の給料103万円~201万円の範囲内で段階的に減っていきます。

≪最大額(妻の給料が103万円超150万円以下)≫

夫の合計所得金額:配偶者特別控除額
・900万円(年収1095万円)以下       :38万円
・900万円超950万円(年収1145万円)以下 :26万円
・950万円超1000万円(年収1195万円)以下:13万円
・1000万円(年収1195万円)超       :

 ここから妻の収入に応じて1~5万円刻みで減っていきます。

≪最少額(妻の給料が約197万円超約201万円以下)≫

夫の合計所得金額:配偶者特別控除額
・900万円(年収1095万円)以下       :3万円
・900万円超950万円(年収1145万円)以下 :2万円
・950万円超1000万円(年収1195万円)以下:1万円
・1000万円(年収1195万円)超       :

 

 増税か減税かは所得によって変わります。
配偶者控除と配偶者特別控除に夫の所得に応じて縮小の仕組みが入ったことは基本的には増税ですが、減税になるケースもあります。
妻の給料が103~201万円で、夫の給料が1095万円以下の場合には配偶者特別控除の拡大により減税になります。

 

 配偶者控除を計算する用紙については、以前は単独でしたが、今は「基礎控除」「所得金額調整控除」と一緒になっています。
基礎控除の部分は全員が使うので、配偶者控除がない場合でもこの兼用の用紙は提出して下さい。

 

 なお、配偶者の所得の判定は年末時点で行なうため、年末調整の処理をする12月前半の段階では見込みで判定することになります。
もし見込みと大幅に差が出て控除額が変わってしまう場合は再年調をするか、確定申告により変更します。

 また年の中途で亡くなった場合は、その時点で判定するため、亡くなった年の配偶者控除や配偶者特別控除も忘れないようにしましょう。

 

 次回は扶養控除です。