どうなる贈与税!?

posted by 2022.11.9

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 年末の税制改正大綱に向けての議論が進んでいます。

 炭素税やNISA拡充など様々なテーマがありますが、ここ数年注目度が高いのが「贈与税の課税強化」の問題です。
現時点で相続税や贈与税に関して行われている議論を少々フライング気味ですが整理しておきます。

 

1.生前贈与加算の延長

<内容>
 現在は亡くなる前3年以内の贈与は税務上なかったものとして相続税の課税対象に加算されます。
元々は亡くなる直前に駆け込み贈与をして相続税を逃れるのを防ぐための制度ですが、この加算期間を5~10年に延長することが検討されています。

<建前>
 贈与の時期によって税負担が変わってしまうのでそれを防ぐことや生前の早い時期に若者へ資産を渡りやすくするため

<本音>
 富裕層を中心にコツコツ贈与することによる相続税節税が行われており、それを防ぐため

 

2.相続時精算課税の緩和

<内容>
 相続時精算課税は累計2500万円までの贈与は非課税、超える部分は20%固定税率と低くして贈与を促し、相続の際に全部まとめて精算する制度です。
生前にまとまった贈与ができることがメリットですが、最後に相続税がかかるので節税効果はありません。
また一度選択するとやめることはできず、少額の贈与でもずっと申告が必要です。
この少額贈与の申告が煩雑であるため、課税しないことが検討されています。

<建前>
 少額贈与の申告の事務負担を減らすため

<本音>
 相続時精算課税をもっと普及させたい(現在は暦年9:精算課税1)

 

3.教育資金・子育て特例の廃止

<内容>
 教育資金、結婚子育て資金については祖父母など直系尊属からの贈与は一定金額まで贈与税非課税とされており、若者への資産移転を促しています。

<建前>
 利用が低迷しているため

<本音>
 富裕層の恩恵が大きいため

 

 

 昨年末は贈与税の110万円非課税枠の縮小や廃止も噂になりましたが、今年はそういう話は出ていないのでさすがに無さそうです。

 改正については通常のスケジュールで考えると早くても令和6年からです。
年内に慌てて何かをする必要は無さそうですが、長期的に贈与を考える場合には年末に出る税制改正大綱で方向性を見極めた方がいいかも知れません。