不動産の小口化商品

posted by 2022.09.6

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 不動産の小口化商品の販売が伸びているようです。

 アパートを小口化して10万円から投資できるクラウドファンディング型のものや都心のオフィスビルを小口化して100万円から投資できる共同所有型のものなどが人気を集めています。
不動産に気軽に投資できる、下がったとは言え預貯金より利回りが高いことなどが人気の理由ですが、相続対策という側面もあります。

 

 不動産投資の場合は相続税評価に関して3段階の圧縮効果があります。

<土地>
① 相続税評価額による20%減(時価の8割が基準で都心はさらに差が大きい)
② 貸家建付地評価による約20%減(貸していることによる制限)
③ 小規模宅地等の特例による50%減(面積上限200㎡あり)

<建物>
① 固定資産税評価による40%減(時価の5~7割が基準)
② 貸家評価による30%減

 例えば土地1200万円、建物800万円とすると720万円となり、現金のままで持つのに比べると半分以下の評価になります。

 

 ただし投資なので当然リスクはあります。

 空室が増えれば利回りは低下しますし、相続対策になるからと勧められて借入金で購入していれば売却時に追い銭が発生することもあり得ます。
借入金による購入は瞬間的には節税効果はありますが、結局は返さないといけないお金なので相続した人の負担にならないよう投資対象としての見極めが重要です。

 

 また税務リスクもあります。
過去には高額なマンションを相続の少し前に借入金で買って相続直後に売却した事例が租税回避に当たるとして最高裁で否認された事例もあります。
金額の多寡の違いはありますが、理屈は同じなので今後の国税庁の対応にも注視が必要です。