昨日のじゃいさんの外れ馬券の続きですが「6月10日に国税不服審判所に審査請求した」とニュースには出ていました。
税金の世界で国と争うにはいきなり裁判というわけではなく何段階ものステップがあります。
大まかな流れは2パターンあります。
<修正申告なし>
① 確定申告
② 税務調査
③ 修正申告拒否
④ 更正(税務署長が税金を決定)
⑤ 税務署へ再調査の請求(飛ばして④⇒⑥も可)
⑥ 国税不服審判所へ審査請求
⑦ 訴訟(地裁⇒高裁⇒最高裁)
<修正申告あり>
① 確定申告
② 税務調査
③ 修正申告
④ 更正の請求⇒却下
⑤ 税務署へ再調査の請求(飛ばして④⇒⑥も可)
⑥ 国税不服審判所へ審査請求
⑦ 訴訟(地裁⇒高裁⇒最高裁)
今回のじゃいさんのケースは『裁判は一旦断念した』というように書かれていたので修正申告はした上で「更正の請求」をしたか、罰金の部分だけを争っているかどちらかだと考えられます。
手続きについてもう少し詳しく見ていきます。
③ 修正申告
税務調査では調査官から修正申告を勧められます。修正申告は誤りを自ら認めたことになるので、あとで裁判の流れに持っていけなくなるためです。
制度上も修正申告をした方が罰金が安くなるようになっています。
ただし、修正申告をしてもその内容を訂正するための更正の請求は可能です。更正の請求をした上で却下されるとそこから裁判の流れになります。
⑤ 再調査の請求
以前は⑤は必須でしたが改正により飛ばせることになりました。
②④⑤はどれも税務署で判断が変わりにくいことから今では7割ぐらいが直接⑥に行くようです。
なお、令和3年度実績では納税者の主張が一部又は全部認められた割合は6.9%で93%が跳ね返されたことになります。
⑥ 審査請求
国税不服審判所は税務署とは異なり第3者機関として内容を審査すること、税務署長の答弁書を納税者も閲覧できることなどから詳細を知ることができます。
なお、令和3年度実績で納税者の主張が一部又は全部認められた割合は13%で87%が跳ね返されたことになります。
⑦ 訴訟
⑥でも納得いく結果にならなければ裁判になりますが費用も時間もかかります。①~⑦の地裁判決までで1年半~3年ほどかかることもあります。
なお、令和3年度実績で納税者の主張が一部又は全部認められた割合は6.5%で93.5%が跳ね返されたことになります。
税務に関する行政手続き、裁判とも数字的には納税者に非常に厳しいので、争う場合はしっかりした根拠と覚悟が必要になってきます。