税制改正大綱の5回目は中小企業支援に関する内容です。
前回解説した所得拡大促進税制の40%税額控除も中小企業向けの支援策ですがそれ以外にも厳しい現状を考慮して各種の支援策があります。
1.各種規定の延長
① 交際費の損金算入の特例
交際費は原則経費になりませんが、中小企業の場合は年間800万円まで経費になります。
中小企業の経済活動を支援する観点から令和4年3月31日までとなっている期限が2年延長されます。
② 少額減価償却資産の特例
物品の購入で経費になるのは10万円未満ですが、中小企業の場合は30万円未満まで経費になります(年間上限300万円)。
この特例も令和4年3月31日となっている期限が2年延長されます。
ただし、本業ではない貸付用資産は除外されます。
貸付用除外は10万円未満の経費算入や一括償却資産(10万円以上20万円未満)についても同時に改正されます。
2.電子帳簿保存の2年猶予
<概要>
令和4年1月1日以降は電子データでの請求書や領収書はデータ保存のみとされ、紙での保存が不可となる予定でした。
しかし検索機能を満たすシステムの導入や社内体制の整備が間に合わないという声を考慮して2年間猶予されることになりました。
<要件>
・令和4年1月1日~令和5年12月31日に行われる電子取引が対象
・調査時に電子データは書面で提示できること
・電子的に保存できない「やむを得ない事情」があると税務署長が認めること
・企業規模について言及されていないので大企業も猶予されると思われます。
手続きについては猶予申請書の提出が必要なのかどうかはまだ明らかではありません。
2年猶予されるものの令和6年からは電子データのみとなるため、準備を進める必要はあります。