税制改正大綱の4回目は賃上げ税制です。
どちらかと言えば地味な今年の大綱の中では目玉とも言える政策です。
大企業で増加額の最大30%、中小企業で最大40%が税額控除されます。
1.賃上げ税制(大企業・中小共通)
<控除額>
・継続雇用者への給与が3%以上増加:15%の税額控除
・継続雇用者への給与が4%以上増加:25%の税額控除
・教育訓練費が20%以上増加:+5%の税額控除
<限度額>
・法人税額の20%(従来と変わらず)
<大企業の追加要件>
資本金10億円以上かつ従業員1000人以上の大企業は給与引き上げの方針や取引先との適切な関係構築方針をネット上で公表して経産省に届けることが条件
<期間>
・令和4年4月1日~令和6年3月31日に開始する事業年度
2.所得拡大促進税制(中小企業)
<控除額>
・継続雇用者への給与が1.5%以上増加:15%の税額控除(改正前と変わらず)
・継続雇用者への給与が2.5%以上増加:30%の税額控除(改正前25%)
・教育訓練費が10%以上増加:+10%の税額控除
改正前は給与2.5%増加と教育訓練費の両方を満たせば25%(15%+10%)の税額控除でしたが、改正後は別々の上乗せになりました。
<限度額>
・法人税額の20%(従来と変わらず)
<期間>
・令和5年4月1日~令和6年3月31日までに開始する事業年度
3.各種税額控除の制限(大企業)
<概要>
一定の大企業において給与が増えていない場合には研究開発税制その他生産性の向上に関連する税額控除の利用が制限されます。
<対象企業>
・資本金10億円以上かつ従業員1000人以上
・前事業年度が所得が黒字
<要件>
・令和4年4月1日~令和5年3月31日開始事業年度:0.5%以上の増加
・令和5年4月1日以降開始事業年度:1%以上の増加
国としては法人税を諸外国並みに下げたのに、給料は増えず、配当や内部留保が増え続けていることに強い不満があるようで、賃上げに消極的に大企業に罰則を設けるような形で従業員、取引先、地域社会などのステークホルダーに還元することを促しています。