前回の続きで電子帳簿保存法の改正について見ていきます。
来年1月から電子データを紙打ち出しではなく、データのまま保存しなければならなくなりますが、保存要件があります。
1.システム関係書類の備え付け
自社でプログラムを開発した場合にはシステム概要書を備え付ける必要があります。
市販のソフトの場合にはマニュアルがあれば十分です。
マニュアル等の備付けは紙でオンラインでもどちらでもOKです。
2.見読性の確保
電子データを確認するためのディスプレイやプリンタを備え付けておく必要があります。
税務調査では調査官用にパソコンを1台置いて見てもらうケースが多いので、余計なものが入っていないパソコンが1台あった方がいいでしょう。
3.検索機能の確保
次のような検索条件があります。
① 日付、金額、取引先ごとに検索できる
② 日付や金額の範囲指定
③ 2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
なお検索条件には例外があり、税務調査時にその都度ダウンロードする場合は②③の条件は不要です。
また前々事業年度の売上げが1000万円以下である事業者については「3.検索機能の確保」全体の条件が不要です。
4.真実性の確保
改ざんを防止するために次のいずれかの措置が必要です。
① 相手先でタイムスタンプ※を押した状態で受け取る
② データを受け取ったあと速やかにタイムスタンプを押す
③ データの訂正削除をした場合に履歴が残る
④ 訂正削除の防止に関する社内の事務処理規程がある
※タイムスタンプとは
電子データの確定時刻と改ざんされていないことを証明するための技術的な仕組み。スタンプは時刻認証局により発行され、市販ソフトに組み込む形で提供されています。
①はタイムスタンプがさほど普及していない現状ではあまり期待できません。
②はタイムスタンプを押せるソフトを導入すれば可能ですが、初期費用で数千円~30万円、1回押すごとに10円程度かかります。
③はすべてのデータやファイル形式について訂正や削除の履歴を残す必要があります。
④は国税庁HPでサンプルが提供されています。
(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm)
人力でやる分、文書はかえって増えてしまうようなところはあります。
どれを選ぶかとなると、データが多い企業では②のタイムスタンプになりそうですが、費用もかかることから中小では④の規程で最初は対応するところが多いかも知れません。
次回は電子データの範囲や検索方法など詳細な運用について確認します。