減資の効果 ② 中小企業特典

posted by 2021.03.16

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 前回は大手企業による減資の節税効果として、外形標準課税の対象外となることを取り上げましたが、それ以外にも税務的なメリットがあります。

 

 中小企業としての税金の優遇があるかどうかは基本的に資本金によって区分されています。
資本金1000万円で消費税免税、3000万円で税額控除といったもののほか、1億円以下変わるものが多くあります。

 

① 法人税率

中小:800万円以下の部分は15%
大 :一律23.4%

※大企業子会社は23.4%のみ、所得15億円以上は800万円以下19%

 

② 交際費の損金算入枠

中小:800万円まで経費OK
大 :全額経費にならず。ただし他社との飲食費であれば半分経費に

 

③ 少額減価償却資産の損金算入

中小:30万円未満の投資が経費になる(合計300万円まで)
大 :適用なし

※従業員500人以下も要件

 

④ 同族会社の留保金課税

中小:適用なし
大 :利益を内部留保した場合に法人税が10~20%追加課税

 

⑤ 法人税の繰戻し還付

中小:前期黒字、今期赤字なら前期の法人税を取り返せる
大 :適用なし

※コロナ特例により大企業も適用OK(令和2年2月1日~令和4年1月31日終了事業年度に発生した欠損金)

 

⑥ 各種特別償却・税額控除

中小:中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制などほとんどが中小限定
大 :適用なし

 

⑦ 貸倒引当金の法定繰入

中小:貸倒れ実績なしで法定繰入率で経費化できる
大 :貸倒れ実績に対応する分しか引き当てできない

 

 なお、資本金が1億円以下であっても大企業の子会社である場合には大企業扱いになるため、適用はありません。
また①や⑥については、過去3年の平均所得が15億円を超えると使えなくなります。

 減資をすることで資本金が1億円以下になった場合、上記のような中小事業の優遇規定が使えますが、減資しても税負担が変わらないものもあります。

(つづく)